未来へ繋げる農業を

友田 拓造さん(ともだ たくぞう)

出身地:大阪府
現住所:富山市 移住年:2017年
職 業:農家(株式会社Yokubari farm 代表取締役社長)
▷  Yokubari farm HP
Yokubari farm Instagram  

普通の会社員から、家族とともに富山へ移住し、農業法人Yokubari farmを立ち上げた友田さん。白ねぎや水菜などの野菜をメインに施設栽培・販売をしています。そんな友田さんは富山の農業の未来を見据え、高い志を持ちながら農業に取り組まれています。

移住のきっかけ

農業をするために、就農できる場所を探していたことがきっかけです。
会社員時代、転勤の多かった私は落ち着いて生活できる場所を探していたのですが、その時に農業を志しました。同じ頃、結婚することも決めており、最終的に妻と一緒に農業をすることも視野にいれ、農業をしながらでも妻が暮らしやすい場所、という基準で考えました。

候補地としては、北海道・石川県・富山県の3箇所にしぼった中で、『とやま農業未来カレッジ』の存在が決め手となりました。『とやま農業未来カレッジ』は1年制で、基本的な農業指導に加え、就農先などの相談にも乗ってもらえました。 富山市出身の妻は、最初は乗り気ではなかったのですが、なんとか説得しました。最終的には、子育てのことを考え、妻の実家に近い点も決め手になりました。

移住して良かったこと

人混みが少ないことですね。
車でどこへでも行けるので、人混みが好きではない私にとって、満員電車などに乗らなくて済むことがすごく良いです。
空いているところを狙って色々な場所に行けたり、駐車場もどこにでもあるので、公共交通の便は悪いですが、 移動にそれほど困らない点は、良いなと思っています。

冬期に栽培中のケール

就農のこと

―農業に興味を持ったきっかけは?

色々ありますが、特に影響を受けたのは、映画『おおかみこどもの雨と雪』です。お母さんと二人の子どもが田舎で畑をしながら暮らしていく様子を見て、苦労はあるけど、家族との幸せな時間を一番大事にして、住む場所や働き方、生き方を決めるのも良いなと思いました。
それまでの自分自身を振り返ってみると、特に楽しかったり印象に残っている瞬間は、友人とのサツマイモ掘りや自然に触れている時間であり、それらは全て農業に繋がっている、と映画を見て気づき、農業をしてみようと思い始めました。

―カレッジを卒業してからはどうされましたか?

砺波市にあるみずほ農場という会社に就農しました。
ここでは3年間働き、野菜の栽培技術を身に着けました。今の私のメイン作物となっている白ねぎと水菜などの栽培技術を身に着けたほか、農業法人経営の基盤を学んだり、仕事の経験を積むことができました。

(左)水菜・(右)白ねぎ

―どうして独立を?

農業をするなら経営継承したいという想いがありました。富山県内の食料や野菜の自給率がとても低いことは知っていたので、自給率を上げたり、就農人口を増やしたり、そういった活動を通して、富山県に貢献したいと思っていました。 そのためには、自分で新しい事業に取り組んだ方が、自給率の拡大や農業者の増加にも寄与できるのではないかと考え、独立しました。

―富山での農業で難しい点は?

野菜だけを育てている農家の方がほとんどいない点です。こうすれば絶対にうまくいく、という安心できる先行事例がないので、そこが1番難しいと感じます。

畑で栽培中の白ねぎ

―これからの目標

今はまだ自分の思い描いている農業に辿り着いておらず、新しいことを取り入れるなど毎年大きなチャレンジをしています。いつ失敗してもおかしくないという気持ちもありますが、それでも会社を軌道に乗せるためには必要なことだと考えています。

農業はどうしても体を使う仕事が多く、30代の私は県内の農業者の中でかなり若い方ですが、それでもやっぱりしんどいと感じることがあります。いつ体の調子がおかしくなるか、思い通りに仕事ができなくなるか、長期入院をしなければいけなくなるか、そういったことを考えます。その時に、自分の代わりになる人をちゃんと育てたり、機械による自動化を進めたりしておかないと、収入がなくなってしまうため、自分に代わって経営できる人を育てることに力を入れていきたいと思っています。

現段階では、自分にしかできない仕事を割り振るために、2023年秋頃から通年でのパート雇用や、2024年から正社員雇用を進めるなどしています。そして、社員やパートが 一人で様々な業務を回せるように、設備を整えたり、マニュアルを作ったり、やり方を決めるなどして、会社の中身を整えている最中です。

保育園児のさつまいも堀りの様子

移住を考えている方へのメッセージ

富山県はすごく住みやすい土地だと思っています。
食べ物もおいしいですし(特に魚介類)、静かでスッキリとした生活を送っていきたいな、という人には、シンプルで 過ごしやすい場所だと思います。
若い人がいっぱい来てくれたらいいなと思います。

大好きな富山をもっとみんなに知ってもらいたいと語る友田さん。今は、目玉になるようなお土産づくりに取り組んでいるそうです。県外出身だからこそ、富山県は土産物が弱く、特に農産品の方から出てくるものが少ないと感じるとのこと。白エビせんべいやます寿しと同じくらい全国的に知名度があって、絶対に買うような特産品を、野菜を使って作りたいと仰っていました。近い将来、友田さんが作った野菜のお土産を県内の至る所で目にするようになるかもしれませんね!楽しみです。