地元の人たちのやさしさがあり、今がある

杉田 晋一 さん(すぎた・しんいち)

出身地:大阪府
現住所:黒部市 移住年:2015年
職業:漁師

奈良県で生まれ、東京や大阪でお仕事をされていた杉田さん。ご親類が黒部に移住されたのをきっかけに、杉田さんも黒部に頻繁に遊びに来られるようになったそうです。黒部で過ごすうちに、いろいろなよいものを発見。移住へとつながりました。

移住のきっかけ

杉田さんは、大阪と黒部を1年程、行き来しておられました。

少し、都会の人混みの生活に飽きたという気持ちもあり、黒部へ通ううちに、海があり、温泉があり、そんな自然の中で生活がしたい、そして何より出会う人たちのやさしさに触れ、移住しようと決められました。

移住前、NPO明日育と日本国際ワークキャンプセンターNICE共同開催の活動に、ボランティアとして参加し、海外や県外から黒部へ来られた学生さんと触れ合う機会があったそうです。

その経験もあり、移住しようと決めた時、地域の方ともっと触れ合いたいという想いから、黒部市の「地域おこし協力隊」へ応募されました。

漁師になろう

地域おこし協力隊の活動の中で、漁師さんの体験をされたことがあったそうです。船に乗るのも初めて。最初は船酔いもあり、そのハードさにくたくたになったそうです。

でも、都会ではこんなに体を使って働いたことはなく、ハードだけれど大好きな海で仕事を終えた後の爽快感。逆に気持ちがよかったそうです。

地域おこし協力隊として3年間の任期を終える頃、漁師への憧れもあり、漁師になろうと心の中で決めておられました。協力隊での人脈も広がっていたので、現在の親方へも「漁師になりたい」という話がつながり、漁師としての生活がスタートしました。

海の素晴らしさ

漁師として海に出るようになってから、ますます海が好きになったと話す杉田さん。

「船の周りをイルカやクジラが泳いでいたり、海から見る朝焼けや夕焼けの美しさ。仕事中にふと見上げる満天の星、光がないから半端なくキレイです。そして、船の上で食べる獲れたての魚、最高に美味しい、ヤバイです(笑)」

なんとも羨ましい限り!!

黒部でのくらし

黒部に住んで5年目。今やすっかり馴染んでおられます。

移住した当初は、地元の方々の主張が強いと感じていたそうですが、だからこそ自分の思っていることも遠慮せず言いやすく、自然体でいれるそうです。

今は、早朝に近所の方が、採れたて野菜を届けて下さり、その流れで一時間話し込んだり、地域の方とのつながりがどんどん増えていっています。

大阪では公共交通機関があればどこへでも移動でき車に乗ることはなかったそうですが、黒部に移住して車の運転を始められました。車があれば不便なことはなく、逆に電車の待ち時間がないのでストレスが減り、ネットが普及しているこの時代、買い物もほとんどネットで出来る。都会だったら、富山だから、という差も感じていないそうです。

また、アウトドアな趣味も始められました。中でもハマっているのは釣り。漁のない時は、週に2~3回程行かれるそうです。海沿いの町「生地」に住み、すぐ海へ行けるという利便性もあり、友人と話をしたり、お酒を飲みながら、ゆるく釣りをしているそうです。お酒を飲んでも歩いて帰ることができます。

キャンプやバーベキューも、親方や船乗り仲間、地域の方々とすることが増え、楽しんでおられます。

「地元の人たちがほんとうにやさしい、だから定住したいと思えます。」と杉田さんはおっしゃいます。

これからの目標は?

「漁師の仕事を早く覚えたいです。漁師を始めて1年3ヶ月(2020年8月現在)。まだまだ覚えることが沢山あります。漁網を編んだり、漁道具を溶接したり、今よりスピーディに出来るようになり、一人前の漁師として認められたいです。」

移住を考えておられる方へのメッセージ

「旅行で来るのもよいですが、しばらく滞在することをオススメします。そして、車であちこち行き、ここでの生活を体験するのがよいと思います。

また、富山は、関東や関西の文化が交ざっていると思うので、どちらからでも馴染みやすく、北陸新幹線もあるので、アクセスしやすいです。

それと、移住を難しく考えることはないと思います。自分を変える必要もなく、自然体でいればいい。嫌なことばかりではありません。ダメだったら戻ればいい、それだけです。」

漁師として、県外の方に食べて欲しいと思う富山のさかなは何ですか?

「ベニズワイガニとバイ貝です。

ベニズワイガニは獲れたての冷凍されていないものを食べてもらいたいです。年明けがオススメです。

バイ貝は、貝の味がしっかりします。旨味とコリコリとした食感がたまりません。

あと滅多に食べることが出来ませんが、クロムツは脂がのってて最高に美味しいです。

美味しい魚を食べに、是非、富山に来て下さい!」

地元「生地」の居酒屋で食べるベニズワイガニとバイ貝のお造り