立山連峰のふもとにある、立山町・東谷地域。

かつて深刻な過疎化に悩んでいた東谷地域の住民は、将来の展望について話し合い、

チャレンジ構想づくり(村の総合計画)に取り組みました。

そして平成15年4月にこの地域の活性化のため「立山自然ふれあい館」が誕生しました。

その中心メンバーとして奮闘し、現在館長の大江茂さんに

これまでの経緯や地域の魅力を伺ってきました。

 

D71_5590

 

 

地域の人々の思いがつまった場所

 

「立山自然ふれあい館」は、平成7年に地元の有志により昆虫の飼育販売をする「昆虫王国」として誕生した施設が大幅にリニューアルされ、現在の形となりました。

 

この施設では里山の魅力であるカブトムシなどの昆虫とのふれあいができるほか、地元でとれた農産物の直売所や四季折々に農業体験や特産品フェアなどのイベントが行われるなど、県内外からたくさんの人が訪れています。

 

もともと町役場の職員だった大江さんは、生まれも育ちも東谷です。若い頃から地区の青年団の活動などを通じて、地域と密接に関わってきました。

そのような中で、この地域を元気にしたいという思いが強くなり、「村おこし協議会」の中心メンバーとして、村おこしに取り組みました。

そうした取り組みのなかで、地域の人々の思いがつまった「立山自然ふれあい館」が誕生したのです。

IMG_6016

里山の魅力たっぷりの自然豊かな場所に位置しています

IMG_5985

カブトムシや周辺で採集した昆虫や魚などの、飼育から展示・販売まで行っています

 

 

新たな取り組み“特産品のブランド化”

 

町役場を退職したのち、大江さんはこの館の館長に就任しました。

大江さんらは、それまで行っていた昆虫の飼育販売に加えて、地域の農産物をブランド化し、特産品として売り出すことを提案、その実現に乗り出しました。

もともと農業が盛んな地域でしたが、特産品として売り出すためには、農産物の加工所や許可施設をつくり、品質向上のための研修、視察などを行い、体制を整えることが必要でした。

 

この取り組みには、なにより地域住民の協力が欠かせませんでした。

 

そこで、地元ならではのつながりや町役場に勤めていたころの人脈を生かし、個別に農家を訪ね協力をお願いしつづけました。地域の人たちは少しずつ関心を持ってくれるようになったといいます。

 

大江さんは、“地域の人々の得意なものリスト”を作ったそうです。

「全くの素人じゃなくてその分野に長けている人を探し、リストを作るところから始めました。そのことを得意な人がやるのが一番なんですよ」と、大江さんは言います。

 

その結果、地域には米、野菜、ゆずなど農産物ごとの生産グループが養成され、次々と特産品として売り出すことに成功しました。

現在も地域住民が中心となり、新たな商品開発やブランド化に奮闘しています。

D71_5648

地元の新鮮な特産品がにぎやかに並んでいます

 

人が来やすいしかけをつくる

 

さらに大江さんは「立山自然ふれあい館」を地域の情報の中心拠点にしたいと思い、季節ごとにさまざまなイベントを開催しています。

 

冬から春は、そば打ち体験や、特産品でもあるゆずのマーマレードジャムづくり、

タケノコ掘り体験、秋にはサツマイモ掘り体験など、里山ならではのイベントを次々に開催。豊かな自然に触れ合うことのできる絶好の機会として評判は良く、地域住民をはじめ県内外から多くの人が参加しているそうです。

 

取材に行ったこの日も、隣の部屋ではブルーベリージャムづくりが行われ、にぎやかな声が聞こえていました。ちょうど出来上がったとのことで「試食をどうぞ」と、持ってきてくださいました。

 

D71_5566

甘酸っぱいブルーベリーも東谷地域の特産品

 

このほかにも「若手実行委員」を作り、若い人のアイデアを生かした企画も行っています。2016年1月には、毎年立山町で開催される「とやま鍋自慢大会」に参加。ゆず粉を使い「ゆず餅入りみぞれ鍋」を考案し販売したところ、大人気だったそうです。

「この取り組みを将来的にも継続していきたいと考えたとき、やはり若い人の力が必要だと思いました。若い人はアイデアもネットワークも豊富。定期的に開催されるイベントも、どんどん変化を加えていきたいです。やってる人も楽しく来る人も楽しい、というのを大事にしています」と、大江さんは言います。

鍋じまん大会

毎年立山町で開催される「とやま鍋自慢大会」

 

若い力がほしい

 

後継者をどう育成していくかが今後の課題であり、そのためには若い人にどんどん地域に来てもらいたいと、大江さんは考えています。

大江さんに、どんな人に来てもらいたいかをお聞きしました。

「やはり、村の人にない能力を持っている人が来てくれるとありがたいです。農産物を商品化したときに企画やプロデュースができたり、そういう知識のある人が来てくれたら嬉しい。でも何より体力をつかう仕事だから、体力のある人が一番かな」と、大江さんは微笑みます。

D71_5598

 

近い将来、地域の農産物を生かしたレストランをやりたい、と、さらなる希望に胸をふくらませる大江さん。

「地元ならではの素材のうまみを生かした料理を提案してくれるシェフにも、来てもらえたらうれしいですね」。この地域から、また新しい話題が聞こえてくるのが楽しみです。

 

昆虫王国 立山自然ふれあい館

 

教えてあげる!地域の情報

意外と便利!

立山町東谷地域は

立山町のなかでも富山市寄りなので、

街中へも車で20分ほどで

行くことができます。

山奥という印象がありますが

意外と生活には困りません。

移住へのこだわり

やる気のある人大歓迎!

若い人に手伝ってもらいたい仕事がたくさんあります。現在の取り組みを引き継いで、自分で何でもやってくれる人、大歓迎です。