400年前、加賀藩前田利長の命により、7名の天才鋳物師が送りこまれ始まった高岡の伝統工芸・銅器産業。その技は脈々と受け継がれ、高岡市は今でも“ものづくりのまち”として名を馳せています。
 
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有限会社 北辰工業所の鋳物工場

高岡の伝統を守る、頼もしい力

「ガラは悪いが、腕は良い」

勢いのあるキャッチフレーズをひっさげ、県内のみならず全国に高岡の伝統工芸の魅力を広めている「高岡伝統工芸産業青年会」(通称:デンサン)。銅器・漆器などの伝統産業に従事する40歳までの若手で構成されており、定塚康孝さんは第38代目の会長を務めています。(※2016年3月現在)

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「会長は大変だったけど、やりがいがあった」と定塚さん

 
最盛期には200名近くいた会員でしたが、伝統工芸産業が縮小していく時代の流れとともに、会員は減少し現在は46名ほどが所属しています。しかし、職人や問屋、デザイナーなどさまざまな職種のメンバーが揃っているので、工房見学やものづくり体験イベントを立ち上げるなど、技術の向上と継承だけでなく新しい試みを積極的に行っています。
 
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若い世代がどんどんアイディアを出し合います

 
「高岡の伝統工芸は分業制が基本なので、同世代が垣根なく話ができるデンサンはとても貴重です。技術の向上と継承という役割があるのはもちろんですが、それぞれの専門分野を活かした、外へのPRも大切な役割のひとつだと思っています」
 
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「ものづくり」と「観光」を組み合わせた“クラフツーリズモ”

 
高岡市には富山大学芸術文化学部があるため、ものづくりに興味のある県外出身者が多く集まるまちでもあります。デンサンでも学生向けの工場見学ツアーを行ったり、作品づくりに協力したりとコラボ企画を多数手がけています。在学中の出会いがきっかけとなり、卒業後、地元企業に就職する学生もいます。

「ものづくりは、自分の殻に閉じこもり外との距離を保つことが、簡単にできてしまう世界です。地元出身で、先祖代々続いている家業を継ぐ人はいいですが、県外から単身で乗り込んできて、高岡の地で頑張るのはそう簡単なことじゃない。僕らが協力できることは、こんな場所があるよ!こんな人がいるよ!と彼らに教えてあげることだと考えています」
 
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新参者に寄せる想い

こんな風に、康孝さんが新参者への思いを熱く語るのには理由があります。

お父さまが代表を務める有限会社北辰工業所は、70年余り鋳物製造などを手がけてきました。康孝さんは県外の大学に通い、家業を継ぐことにも積極的ではありませんでしたが、10年前、お父さまの後を継ぐことを決意し高岡にUターンします。それまでは鋳物製造に関して何も学んでこなかったので、ゼロからのスタートでした。

「取引先にいた同世代の影響もあり、早い段階でデンサンのメンバーになることができました。戻ってきた当初失敗ばかりしていましたが、頑張っている同世代のメンバーに会うとモチベーションが上がり、悩むことがあっても乗り越えてこれました。自分自身がデンサンにものすごく助けてもらったので、新しく挑戦する人の力になってあげたいなと思うんです」
 
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北辰工業所さんがつくった、オリジナル焼き型

 
1974年に発足し、42年のあいださまざまな活動を行ってきた高岡伝統工芸産業青年会。最後に、これからの展望を伺いました。

「高岡の伝統工芸を、絶やさずに永く愛し続けてもらうためには、地元の人がその魅力を知り、語り継いでいけることが大事だと思います。今までは、県外へのPR活動を中心に活動してきましたが、これからは県内の人、特に高岡の地元の皆さんへのPR活動にも力を入れていきたいと考えています」
 
有限会社 北辰工業所ホームページ

教えてあげる!地域の情報

「ものづくりのまち」です

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高岡市は、富山県の第2の都市。加賀藩主・前田利長によって開かれた城下町で、国宝 瑞龍寺をはじめ、歴史的建造物が市街地に数多く残っています。また、銅器や漆器などの伝統工芸の技術が今も息づく「ものづくりのまち」です。

移住へのこだわり

デンサンへの参加、待っています!

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1974年、高岡商工会議所の青年部から若手メンバーが集まり、業界や業種を超えた総勢500名余りが結集し発足した「高岡伝統産業青年会」。「ものづくりに興味のある方、とりあえず来られ!どんなスタンスで活動をしているのか僕らが案内します。楽しいことやってるな、面白そうだなっと思っていただけるはずです!!」と定塚さん。

高岡伝統産業青年会ホームページ