「地元の人が幸せじゃないと、外から人はやってきません。朝日町を盛り上げたい思いを持っている人が多いのに、なかなか集まる機会がなかったんです。

この町にはみんながつながり、笑顔が生まれる場所が必要でした。」

 

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自身の経営する建築会社(家印株式会社)を、地域のコミュニティスペース「ニコニコハウス」として活用し、月に数回イベントを開いている坂東秀昭さん。

昔は小さな食料品店だった空き家をお借りし、シェアハウスとして使っていた場所を、建築会社と町の若者や移住者が集まれる交流の場所を手作りでリノベーションしました。

 

社員やシェアハウスの住民と玄関先で、ガラス戸の縁をペンキで塗っていると、見に来た友人仲間がそのまま参加することも。

 

ニコニコハウスでは講師の方を招いて勉強会をしたり、地元の食材やお酒を持ち寄ってご飯会をしたり。建築士として空き家を紹介するだけでなく、移住者や地元の方の内面的なサポートもできたらと考えています。

 

 

実は坂東さんも U ターン経験者。
受け入れ側と受け入れてもらう側、両方の視点を持っていらっしゃいます。

 

地方でやることに意味がある

 

柔道に明け暮れた大学生時代。その頃から建築の図面を作ったり、空間を考えたりすることが楽しくて時間を忘れるくらい熱中していました。

自分の作ったものが生涯残る建築の世界に憧れ、大学卒業後は東京の専門学校へ。進学する際、両親と交わした約束は卒業後、地元に帰ってくるということ。

 

東京で腕を磨きたい思いも強く、また、いくつかの会社から誘いの声もありましたが、約束通りに戻ってきました。

U ターン後も東京に戻りたい気持ちが続いていたある日、運命的な建築の仕事が舞い込みます。

 

「朝日町伝統の蛭谷(びるだん)和紙の存在を知り、活かさないわけにはいかない、しっかりアピールしようと和紙をふんだんに使った家づくりをしました。

新聞やメディアにも出たことで、地元の人がとても喜んでくれたのです。地域に根ざした活動をしていきたいと思ったきっかけでした。」

 

古くからその地域に根差してきた素材や技術を有効に使って、新しいものを作ると人が集まる。

 

そう気づいてからは東京へ戻りたい気持ちは薄れ、田舎だからこそいいものを発信できるのだと、誇りを感じるようになりました。

 

坂東さんの手がける建築は、地域の材料を使って、地域の職人さんが仕事をする、地域に根付いた方法です。実は大工さんから瓦屋さんまで、町内で80%以上はカバーが可能。

 

今はショールームに行って家を決める人が多いかもしれません。しかし、昔ながらのその地域にいる人たちの技術を活かして建てる方法にした方が、お金も循環させられるし、地域が大切にしてきたものを守り伝えていけるのだと話してくださいました。

 

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移住者だからこそ見えるもの

 

小さい頃から町を出たことがない生粋の朝日町民は、そう多くはないと坂東さんは言います。

移住者や U ターン経験者が増えてきた町内。移住者が運営するお店が、今は若者や地元の年配の方の大切なコミュニティの場になっています。

 

ニコニコハウスに集う皆さんが毎晩のように集まって作り上げたお店

 

自分たちが使うコミュニティスペースを自分たちの手で作るから愛着がわく。誰かが持っていたお店を作りたい夢を、地元の方と移住者がひとつになって作る。

できあがったお店を見て、サポートし合う環境を知り、別の夢を持った人が、自分も叶えられるかもしれないと一歩を踏み出すことができる。

 

誰かの夢が、また別の誰かの夢につながる。夢の循環が生まれています。

 

「行政に何かやってもらおうと待つのではなく、自分たちで動き出す。やろうと声を出してすぐに動けるのが自治体や民間の魅力です。

昔から地元にいると、町のいいところも当たり前だと思ってしまうけど、移住者は気付くんですよね。それがよい刺激になって、地元の人が誇りと感じてくれたらうれしいです。」

 

何度でも訪れたくなる場所づくり

 

ニコニコハウスのイベントを企画するのは、現在は半数以上が移住者。

先輩の移住者や地元の方が新しい移住者に生活のアドバイスをしたり、元々地域で暮らしている人も訪れるなど交流の輪は広がっています。

 

 

 

「お金を掛けたらもっと人が集まる方法もあるのかもしれません。でもそうではないやり方でも、みんなが幸せに感じることを行えば、自然と人は集まる。

地域の人をボランティアで募って、新しいことを始める人を応援、サポートする。

移住者がその環境を心強いと感じ、定住につながればいいですね」

 

ニコニコハウスは笑顔で溢れています。

昔からある朝日町のいいものを再発見する移住者の行動力で、町内には懐かしくもある、新しい色が加わります。

 

坂東さんが経営する地域との連携を大切にした建築会社です。
▶︎家印株式会社

 

教えてあげる!地域の情報

まちの人から観光客まで!

ニコニコハウスに集う人が中心となって作った「HYGGE」。店主こだわりのハーブティーが店内に香ります。小さいお子さんが座りやすいように、机の高さが変えられるなど優しさが詰まっています。

▶︎HYGGE

移住へのこだわり

ニコニコハウスへようこそ!

イベントのお知らせは主に企画者がfacebookで発信しています。同年代の知り合いができたり、移住者同士の交流が楽しめたりなど、つながりが広がる場所にぜひ遊びにきてください!