東京都出身の浦田夏子さんは、ご長男の出産後まで都内で暮らしていましたが、自然が豊かな離島に住みたいと考えていました。
トビウオ漁を一緒にしようと声をかけられ、家族で鹿児島県の諏訪之瀬島に移住。
しかし、実家からの距離が遠く、お母さまの危篤に間に合うことができませんでした。

お父さまの住む実家の近くに移ろうと、6年間の島暮らしから自然農をする友人のいる福井県へ。
浦田さんご夫妻も自然農に取り組みましたが、約半年間収入がない状況。
4人のお子さんのために夏子さんは働きに出ます。1年経ち、ご主人も外で働くことに。
また、なかなか農地を貸してもらえるチャンスがなく、目指していた自給的暮らしから離れつつあり、何のために移住したのかと考えていました。

2012年、南砺市の「相倉住まんまいけプロジェクト」(世界文化遺産の五箇山合掌造り集落・相倉集落の家に住む家族1組を募集するプロジェクト)を知り、応募。
約54組もの応募があり、浦田さんは残念ながら選ばれませんでした。
しかし、選ばれなかった人に近くの集落の空き家を紹介しようと言う声があり、浦田さんはそちらの集落に住むことを決めました。
2013年の春に引っ越し、家のリフォームも田畑の作業もすぐに始めました。

 

02浦田 夏子さん

 

—五箇山の暮らしはいかがですか。

私の住む集落には、50人くらいの人が暮らしています。
以前住んでいた諏訪之瀬島と同じくらいのコミュニティで、懐かしい感じがします。
富山の女性は働いている人が多いですね。
東京では専業主婦の人が周りに多かったので新鮮でした。

私が働きに出ずに家にいると、働き口が見つかるようにと地域の人が色んなところに声をかけてくださいました。
働くなら五箇山の伝統的な和紙か豆腐作りに関わりたいと思っていました。
今は豆腐屋さんで働いています。
女性が多い職場で、子育てに理解があり、助かっています。

以前は北陸地方に住むイメージがなかったのですが、実際に来てみると、とても住みやすい土地だと思います。
富山は、女性が仕事をしやすく、子育て環境が良いですね。
また、富山の人は優しくて親切。
特に五箇山の人は、助け合わなければ暮らすのが厳しい環境もあってか、とてもフレンドリーです。
子どもたちもすぐに学校に馴染めました。
先生方も頑張っていて、いい学校に入れて良かったと思っています。
畑では野菜のほか、ハーブ栽培も始めました。
このあたりは豪雪地帯で積雪がすごいのですが、それにも耐えられるハーブを探しています。

 

—今後の目標は?

関心を持っている自然農・フェアトレード・オーガニックに関わっていきたいです。
また、養護施設に携わっていたことがあり、里親登録にも取り組んでみたいです。
今、助けが必要な子どもを、ある程度の期間預かることができればと思います。
しかし、周りの人に迷惑がかかるのではないか、地元の子どもたちに影響を与えるのではないか、そんな心配もありますが、少しずつ準備をして、縁があれば預かりたいと考えています。

 

—移住を考えている方へのアドバイスがあればお願いします。

移住先の地域の人にとって、どんな人が転入してくるかはとても重要です。
行事に参加して地域の働き手になってくれる人、子どもがいる家族など、
地域が求める人と、移住する人がフィットするかどうかがポイントになると思います。
移住する人は、積極的に地域に関わり生活することが大切だと思います。