富山県南砺市の山間にある豪雪地帯・五箇山。
合掌造りの家々が残り、世界遺産に登録されている集落もあります。
昔ながらの生活が息づく日本の原風景のようなこの地域に魅せられ、
2015年4月、千葉から移住してきた多賀野公太さん・香菜子さんご夫妻。
移住についてのお話を伺ってきました。
「いつかは山暮らしがしたい!」って思ってました
もともと山好きだった多賀野さんご夫妻。
公太さんはスキーやキャンプ、香菜子さんは登山を趣味としています。
公太さんの“いつかは山暮らしがしたい”との思いを実現へと踏み出すきっかけとなったのは、東日本大震災でした。
「世の中何が起きるか分からない。いつかやろうと思ってたらやれなくなっちゃう」と思い立ち、香菜子さんに相談。
3年ほどかけて、ご両親の説得など移住に向けての準備を整えます。

移住のきっかけとなった『とやま暮らしセミナー』での先輩移住者・浦田謙太郎さんのトーク
五箇山の地を初めて知ったのは、2014年6月に東京で参加した『とやま暮らしセミナー』でした。
先輩移住者である浦田謙太郎さんの、五箇山での自給自足に近い豊かな暮らしぶりに魅了されます。
セミナーの2ヶ月後には、実際に五箇山の浦田さんの元を訪れました。
その後10月に再訪した際、浦田さんは地元の方を集めてバーベキューを開催して下さったそう。
地元の方々とも交流が生まれ、五箇山への移住を決意しました。
“よそ者”から“地元民”への仲間入りはハプニングがきっかけでした
移住するにあたり、最も苦労したのは家探しでした。
移住時は、南砺市の移住体験ハウスだった家を期限つきで借りて住んでいましたが、正式に住む家がなかなか決まりませんでした。
“よそ者”には、空き家でも家主さんが貸すのを嫌がる、家主だけでなくその集落の全員がOKでなければ譲ってもらえない、など、さまざまな事情に悩みました。
突破口となったのは、自宅に出没したハクビシンの捕獲騒動でした。
捕獲の仕方やその処理などを通じて仲良くなった地元の方に、現在の家を紹介してもらったそう。
「田舎って一人と繋がると一気に輪が広がるんです。都会では繋がりたい人までの距離が遠い気がするけど、田舎だとものすごく近い気がする。それをただのしがらみと言う人もいるけど、それも含めて都会にはない“人付き合いの楽しさ”なんだと思います」と、公太さんは言います。
現在、五箇山の宿泊施設で働いている公太さん。仕事も、地元の方を通じてたくさんの誘いがあったそうです。
「若い人が少ないから、働き口はある。地元の方が世話を焼いてくれるから、仕事探しには困りませんでした」。
近所のおじいちゃん、おばあちゃんに助けられる日々です!
元民宿だった築40年の古民家に住む、多賀野さんご夫妻。
水道管が凍るなど、豪雪地域ならではのトラブルも多いとのことですが、元々この家に住んでいた方の親戚であるご近所のおばあちゃんに、困ったときはいつでも相談しているそう。
「おばあちゃんが、空き家だった期間もしょっちゅうこの家の管理をしてくれてたから何でも知ってるので、頼りにしてます。融雪ホースの取り付けや道具の使い方など、色々おばあちゃんに教えてもらいました。昔の人の知恵ってすごいんですよ」。
家の周りに取り付けた雪囲いや融雪装置。古くからの知恵の結晶。
ほかにも、困ったり悩んだりしたときは、近所の方になんでも相談しているそう。
「困ったときは人に話すと、皆が知恵を分けてくれるんです。そんなやりとりを通じて仲良くなったり、お互いのことを知るきっかけにもなる気がします」と、公太さんは言います。
古きものと、新たな未来への希望をかけあわせて
「不便なこともありますが、それもポジティブに考えれば楽しめる」と語る多賀野さんご夫妻。
「五箇山で生活するようになって、何でも自分で作るのが楽しくなりました。それにどんどん健康志向になってます」という香菜子さんは、この春からは畑を始めるのだそう。
「無農薬にこだわって野菜を作りたいです。やり方は・・・また近所のおばあちゃんに教えてもらおうと思ってます」と、目を輝かせる香菜子さん。
この家に残されていた漬物石などを使って香菜子さんお手製の漬物作り
将来は、元民宿だったこの古民家を利用して、ゲストハウスを開きたいと考えているそうです。
「観光客だけでなく、地元のおばあちゃんたちが井戸端会議をするときにも使ってもらいたいです。地元民の憩いの場になればいいな」。
若きご夫妻の夢は、さらに広がります。
多賀野ご夫妻のお気に入り
雪板
公太さんの手作り
本
公太さんの愛読書
本当の意味での豊かな生き方とは何かを追求する本
リュックサック
登山をするときに愛用
鎌
山菜採りをするときに愛用
移住のアドバイス
県や各市町村が行っている移住希望者向けのセミナーやイベントの参加はおす すめです。
移住について全く知識がなくても、初めの一歩を踏み出してみて下さい。
セミナーは、情報多数で迷っちゃうほどです!