2014年7月に東京から砺波市に移住した彫刻家の嶋田秀男さん。現在住む一軒家の一角をアトリエ・ギャラリーとして開放し、訪れる方々との交流や家庭菜園を楽しみながら生活していらっしゃいます。

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一軒家を探して

高校卒業後に東京で彫刻家澤田政廣氏に弟子入り、11年の修行を経て独立した嶋田さん。生まれ育った砺波市へのUターンを決めてから2013年7月に住民票を移しました。

お兄さんの紹介で散居村ミュージアムへ行き、空き家バンクに登録したことをきっかけに出会いが一気に広がります。登録後に紹介された空き家見学ツアーで「空き家再生等推進協議会」の委員長、尾田武雄さんと出会いました。「話をしてみたら偶然私が尾田さんの高校の後輩だったんです。そこで一気に尾田さんと打ち解けました。その後、尾田さんが「空き家バンクには登録されていない20年間空き家の一軒家がある」と紹介してくださって。そしたら、持ち主の方が同級生だったんですよ」。

そんな縁もあり、地域に貢献してほしいという砺波市の担当者の想いとも合致し、嶋田さんが譲り受けることになりました。

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20年間空き家だったとは思えないほど、きれいな状態の家の中

 

散居村での暮らし

嶋田さんが譲り受けた一軒家は、散居村や古い町で見ることのできるアズマダチ。切妻作りの大きな屋根で、正面玄関側が白い漆喰に格子状の柱が入ったデザインが特徴です。そのアズマダチを空き家という理由で壊すのはもったいない。散居村を壊すのは悲しい。と話す嶋田さん。「ここは持ち主だった友人も落ち葉の片付けや家の維持に困っていたそうです。20年空き家だったのですが、雨漏りも少なくリフォームがほとんど必要ない状態だったので、ひたすら掃除に徹しました」。

そして2015年12月にアトリエ・ギャラリーとしてオープン。取材に伺ったその日も、ご近所の方が彫刻を習いに来ていらっしゃいました。

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嶋田さんが、1日半で作ったという手作りのカウンター

 

自給自足に近づいた暮らし

町内の活動などはありますか?と質問すると「運動会や美化運動、温泉旅行など行事はたくさんありますよ」と嶋田さん。大変だという考え方もありますが、それ以上に地域の方々との交流を楽しみながら参加しているそう。

そして一番の楽しみは夕方の畑仕事。「家の前の畑を借りて、家庭菜園をしています。とれたての野菜が美味しいのはもちろん、畑仕事をきっかけに近所の方と会話をする機会が増えました。1年目は失敗も多かったけど、2年目にはだいぶ慣れたので、これからはどこまで自給自足で生活できるかやってみたいです」と嶋田さん。田舎暮らしが好きな人にはたまらない生活です。

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家の2階から見える畑で野菜をつくっていらっしゃいます

 

散居村だから、おもしろい

散居村での生活で大変なことは、家の掃除と草刈り。「やっぱり家が広いので掃除は大変です。あとは家の周りに木があるので、落ち葉の片付けや草刈りは時間がかかります」。

逆にいいことは、隣の家との距離が離れているので大きな音で音楽が聴けること。嶋田さんが案内してくださったギャラリーには、ドラムのセットやギター、大きなスピーカーなどがありました。「さすがにドラムはうるさい気がしますが、気軽に演奏したり、音をあまり気にせず音楽を聞くこともできるのが嬉しいです。この家の構造も、音が綺麗に聞こえる理由だと思います。何かもの作りをしたい方、音を出して練習したい方にもぴったりの場所だと思います」。

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ギャラリーには楽器もたくさんありました

 

最後に移住を考えている方にアドバイスをいただきました。

「いまはインターネットで色々な情報が得られるのでまずは、住んでみたいところを調べて見て体験談や町のことを知るのがいいと思います。砺波市なら散居村ミュージアムに行って空き家バンクに登録するなど実際に現地に行って相談するともっといい出会いがあると思いますよ。ここは自給自足に興味がある方には、とってもいい場所です」。

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近所の尾田さんも駆けつけてくださいました

嶋田さんのお気に入り

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田舎暮らしの便利な情報が乗っている本は、嶋田さんの愛読書です。畑仕事や、日々の暮らしの参考にしています。

 

移住のすすめ

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散居村の夕暮れ。こんな景色を毎日のように見ることができるなんて、贅沢です!!