中西成一さんは、大学進学を機に石川県金沢市へ。
大学院卒業後、携帯電話の設計技術の仕事に携わります。
技術者の仕事は楽しく、やりがいもありましたが、大変多忙な日々でした。

以前からUターンを考えていたことや、自然農や自給自足の暮らしへの関心が高まり、仕事をしながら、実家の畑で自然農を始めます。
29歳の時に会社を退職し、本格的に自然農を礎とした自給自足の暮らしを始めます。現在6年目。
また、ジェンベ(アフリカの太鼓)の奏者でもいらっしゃいます。

 

15中西 成一さん

 

—中西さんのされている自然農について教えてください。

自然に沿って栽培する農です。
現在、多くの方が行われている慣行農法との大きな違いは耕さないことです。
山で草木や虫や小動物などの生き物が生き生きと育っている様に、耕さないことで生き物のいのちが充実し、3年、5年、10年と時が経つに従い、豊かな田畑になります。
水はけに応じて1度畝を作った後は、そのまま自然に畝の高さが低くなるまで作付できます。
たくさん草が生えていますが、放任している訳ではなく、種をまく時や、作物が草に負けそうな時は、草を刈ったり、地力がない時には、米ぬかや刈った草などをふりまいて、目的とする作物が育つよう整えてあげます。
意外かもしれませんが、始めて1年目、耕されていた田畑には地力がなく、やせた土地でも育つ豆しか育ちませんでしたが、30年放置されていた田畑では、1年目から多くの実りを手にできました。

収穫したものは、家族で食べます。
それ以上に収穫できたものは、野菜セットとして、また古代米や雑穀、豆なども販売しています。
販売は主に宅配便で、首都圏のお客様が多いです。

手作業で田畑を営んでいるので、工夫してあげないと生活にゆとりが持てません。
以前は、勢いに任せて長時間働いていたこともありましたが、今は暮らしとのバランスがとれるようになりました。
今は涼しい時間帯に1日約6時間作業をしています。

 

—ジェンベとの出会いは考え方や生き方に影響を与えましたか?

25歳のころ、ジェンベ(アフリカの太鼓)と出会いました。
師事した先生から、太鼓は楽器ではなく、出会いの道具・コミュニケーションツールと教わりました。
ジェンベを通じて、今後色んな出会いがあると言われました。

現在は週1回、じょうはな座で仲間5〜6人が集まり、活動しています。
5年前に、西アフリカのマリ、セネガルを訪ねました。今年は息子と約2ヶ月マリに滞在しました。
その土地の音楽や生命力、厳しくも優しい自然と共に力強く生きている人々に強く惹かれました。
日本に帰ってからも、どうしたら一生懸命生きられるか日々考えています。

太鼓や自然農を始めてから、全部自分の責任で生きているので、少し無理をすることもありますが、頑張れます。
様々な場面で腑に落ちないことが少なくなりました。
当たり前のことを当たり前に積み上げていくと、自分というものがどういう役割かわかってきます。
自分の目の前のことをしっかりすれば、思いを共有できる人が現れることを知りました。

 

—富山への定住を考えている方にアドバイスをお願いします。

富山に多い田舎には、都会と違う所があります。
無報酬で水路や畦道などの環境を維持していること、昔から代々その土地に暮らしてきた風習があることなどです。
郷に入れば郷に従えで、最初は我慢することもあると思いますが、自然はひとつひとつ課題を与えてくれて、それを乗り越える度に、ひとつひとつ道は開かれていくと思います。
富山は山や川などの自然が身近で癒されます。
子育てをするにはとても良い環境だと思います。
縁あってここ富山に来られる方、ここがあなたの“ふるさと”になると嬉しいです。

 

※富山市に移住