埼玉県出身の三品さん。現在、古い農家をリフォーム中です。
氷見市指崎(さっさき)地区は、海岸から川が作った谷筋を少し上ったところにあります。
農家は山を背にして建っています。裏手は竹林。隣は神社。前は畑です。

8年ほど前に空き家となってしまった家は、少し傷んでいました。
「天井にシミが見えるでしょう。あれ、ムササビが住んでいた跡なんですよ。天井裏に住んでいたみたいです」。
聞けば、近所にはムササビが結構いるとのこと。
「でも土台はしっかりしていました。地域では由緒ある家のようです。

 

20三品 力さん、美智子さん

 

三品さんが富山県氷見市を定年後の定住先に選んだ理由は、

○仕事の関係で金沢に住んでおり、北陸が気に入っていた。
○埼玉に比べ四季がはっきりしている。特に雪が解け、花が咲き、木々が緑になっていく様子はすばらしい。
○農作業、山菜採り、盆栽、海釣りが趣味で、ここならば全部身近でできる。
○息子さんが金沢で勤めており、しょっちゅう会える。

ということでした。

 

「実際、ここに越してきて、山菜の豊富なのには驚きました。
タラの芽、コゴミ、こしあぶら、そして竹の子。なんでもあります。
金沢にいたときは、福光や五箇山の山に入って採っていたのですが、ここではすぐ近くにあるんですよ」。

それから、これは実際この家を買うことが決まった後の話ですが、
「実は、引っ越してきても、地域に溶け込むことができるか、ちょっと心配していました。
でも、お隣さん、前の区長さんですが、この方が本当に親身になっていろいろと教えてくださったんです。
家の前の用水や神社の清掃活動など、地域の住民としてやらなければならない活動があるのですが、
教えてもらって参加したおかげで、地区の人たちに認めてもらえたように思います」ということでした。
いい人に巡り合えましたね。

 

この家は、氷見市のインターネットの空き家情報で見つけました。
そして氷見市役所に電話。昨年の11月に最初に見て一目で気に入りました。

「私は上尾市に住んでいましたが、駅に近いこともあってやかましいし、どこへ行くにも渋滞がひどい。
その点ここは静かだし、渋滞もない。車で少しいけばコンビニも病院もある。
妻も、地方出身者なので、田舎に住むことに抵抗はありませんでした」。

 

リフォームは7月頃完成の予定。
完成すれば住民票を氷見市に移して正式に市民となります。

家の裏には立派な蔵。家の周囲は木に囲まれ、敷地内には井戸もあります。
山から流れる水がきれいなのでワサビも植えてみました。
家の前の畑は、近所の人が耕してくれました。

「この辺ではホタルが見られるというので、家のまわりに池を作り、ホタルを増やしてみたいですね」。
家の敷地は500坪。三品さんの口からは、やってみたいことが機関銃のように次々と出てきました。

 

たまたま見たインターネットの空き家情報、市役所の担当者の熱意、お隣さんのアドバイスなど、いろんな幸運に支えられ、三品さんの富山・氷見ライフがこれから始まろうとしています。