福井県出身の岩田緑さんは、結婚を機に立山町へ。
2006年より「パン教室リヒト」を主宰。
家庭でパンを手作りする楽しさを伝えたいと、自宅のキッチンや生徒さんの自宅、公共の調理室などへ出張し、レッスンを行っています。
今年2月、自宅の一室を改修し、教室専用スペース「おうちパン工房」が完成しました。

 

03岩田 緑さん

 

—パン教室を始めたいきさつをお聞かせください。

短大の卒業旅行としてドイツへ短期語学留学をしました。
ホームスティの朝食で出されたドイツパンのおいしさが忘れられず、結婚が決まり5年余り勤めた会社を退職したときにパン教室に半年間通いました。
ドイツパンのレッスンはありませんでしたが、捏ね方や基礎を学び、師範の資格を取得しました。

結婚してしばらくは家の自営業を手伝っていました。
子どもができてからは子育てに専念。
趣味程度にときどきパンを焼いていました。
そんな中「パンを教えて」と言う声があり、子どもが3歳になった頃に自宅のキッチンでパン教室を始めました。

教室は約40種類のパンの中から、作りたいパンを選んで受けることができます。
スタートの2006年から毎年年間200回前後のレッスンを行っています。
定番のパンが好きなので、基礎的なことや変わらない味を伝えたいと考えています。

最初はがむしゃらでした。予約が入らないと気持ちが揺らぐこともありました。
でも、5年位は続けないと公に言えないと思っていました。
自宅キッチンでの教室は、手狭で時間の制約もありますが、義母の協力もあり、続けることができました。
家族や弟夫婦も仕事を持ちながらサポートしてくれるので、私も真剣に取り組まなければと思っています。
キッチンでは1〜2人まででしたが、工房では4人まで受講できるようになりました。
グループやファミリーなど、多くの人にパン作りを楽しんでもらいたいです。

 

—お店ではなく、教室を選んだのは?

私は、たくさんパンを作って販売したいと言うより、パンを作る人を増やしたいと思っています。
お母さんが習ってお家でお子さんもパンを作ったり、お友達と作ったり、色んな人にパン作りの楽しさを知ってもらいたいです。
また、ここは立山連峰への観光客が全国から多く通るところです。
観光客の方がふらっと工房に立ち寄って2時間くらいでパンを作る教室を企画したら、全国にパン作りを楽しむ人が増えて面白いかもと考えています。

お店を開くほどの量を作るには、それなりの設備も必要ですし、販売までするとなると時間も体力も使います。
私は自分の家族にパンを作りたい、家族との時間を大切にしたいと思っているので、その道は選びませんでした。
また、教室に来た人が気持ちよく過ごしてもらえるように段取りや気配りをするのも好きなので、向いていると思います。
生徒さんにとって、ここで過ごす時間が楽しい思い出になったら嬉しいですね。

 

—富山暮らしはいかがですか?

福井県にいる時は、京都など関西方面に目が向いていて、富山県について知識はありませんでした。
でも、住んでみたらとても良い所です。来てよかったと思います。

お嫁に来た当時は誰も知っている人がいなかったけれど、教室のおかげで友達ができました。
また、生徒さんは積極的に教室を宣伝してくれます。とてもありがたいです。
福井の人は良いと思っても、あまり他人に教えない印象があります。
実家では母が料理や裁縫が上手で、家事をする空間は母の場所と言う感じで、自由にできる機会はあまりありませんでした。
今は自分のできる範囲で家事を楽しめることが嬉しいです。
富山では何でも自分で決めて行うことができ、自分らしくいられます。

 

—これからの夢を教えてください。

子どもが小さい頃は「子育て頑張ろう!」と思いましたが、義務感の方が大きく占めていました。
私の場合、自分らしく生きるには子育てプラス何かが必要だと感じていました。
子育ては3歳くらいまでは本当に大変で、暗い気持ちになることもありましたが、パン教室を始めることによって、光が見えた気がしました。
「リヒト」はドイツ語で「光」と言う意味です。
レッスンを受けた生徒さん達にもパン作りの楽しさと言う光がともり、それが多くの家庭に広まればいいなと思っています。

 

▶︎パン教室リヒト