手作り時計作家として活躍する伊藤美沙さんは、東京・吉祥寺にある専門店で働きながら技術を学びました。
富山には2010年Uターンし、同時に時計作家として独立。
工房でひとつひとつ手作りされるアンティーク調の時計。
一緒にいると心がほっとする不思議な魅力。
伊藤さんが作る時計、富山、そして伊藤さん自身はどこか似ています。

 

04伊藤 美沙さん

 

—富山にUターンするまでのことを聞かせてください。

モノを作る仕事がしたいと思い、東京に行けば何か見つかる気がして、上京。
スタッフを募集していた時計店に飛び込んだのが、手作り時計との最初の出会いでした。
はじめの数年間は販売の仕事をしながら、時計教室に通いました。

その後、工房に入り、手作り時計の師匠のアシスタントに付き、時計作家としての技術を学びながら、自分でも少しずつ製作していました。
東京は好きでしたが、「30歳になったら富山に戻ろう」と、以前から何となく思っていました。
後任も見つかり、2010年に独立。
いまは黒部市の自宅兼工房で製作を続けています。

 

—手作り時計について聞かせてください。

時計作りは、真鍮の塊にムーブメントを入れ、針をのせ組みあげます。
最後に電池を入れると、命が吹き込まれたかのように針が動き出す… 。その瞬間がとても好きです。
東京ではセカセカとしたところがありましたが、富山では気持ちに余裕ができました。
ひと手間かけられるようになり、丁寧に作れています。
製作にすごく集中できるようになり、一度“製作モード”に入ると、なかなか止まらなくなります。
一本作ると、「もっとこうしたい」と思い、次の一本を作ると、また次々と新しいアイデアが湧いてきます。

 

04伊藤 美沙さん02

 

—ブランドの由来やコンセプトは?

ブランド名『meu tempo(メウ・テンポ) 』は、ポルトガル語で『私の時間』。
「日々のありふれた時間を、自分自身を感じる“自感”に。
他の誰のものでもない、“私の時間”をより楽しく素敵なものに…」という想いを込めました。
富山県内のほか、東京・大阪・青森・福岡など県外のクラフトイベント等でも出展・販売しています。
リペアも行います。手作りですから、壊れても大抵は修理可能です。
愛着を持って長く使い続けていただけると嬉しいです。

 

—富山暮らしの感想を聞かせてください。

富山には、東京のような遊ぶところは少ないですが、ちょっと行くだけで、ステキな場所がたくさんあります。
お気に入りは、家から自転車で10分ほどのところ。
用水が流れ、田んぼがずっと続いていて、特に夕日が反射すると最高にきれいです。
また、富山に戻ってから、異業種の方など、新たなネットワークもできました。
そのなかで、「富山って、いいところがたくさんある」と、気づくことが多いです。
10代・20代のころは、自分の居場所は「ここじゃない」と、ずっと思っていました。
でも、東京に出たら、やっぱり違う気がして…。結局、場所じゃないですね。
思いがあれば、都会も田舎も関係ない。
それは、一度富山を出て、都会を経験したから、気づけたのだと思います。

 

—今後の目標を聞かせてください。

今は製作だけですが、いずれは自分で販売まで行う、工房兼ショップを持ちたいです。
商店街の空き店舗などを活用できたら、今より幅広い方に知っていただけそうですね。

 

▶︎meu tempo(メウ・テンポ) 手作り時計 ホームページ