イギリスのロンドン近郊で育ったヒーリー・スチュワートさんは、10年前に金沢の大学院へ留学。
情報科学のゼミで学びます。富山県出身の奥様とご結婚し、富山県へ定住。
大学院修了後は英会話を教えたり、翻訳の仕事をされていました。
2009年に家庭菜園で始めたブラックベリー栽培は徐々に規模を広げています。
—ブラックベリー栽培を始めるきっかけとお仕事について教えてください。
ある時、イギリス料理はおいしくないと言うイメージがあるが、デザートは日本に負けないものがあると妻と話していました。
祖母が作ってくれたブラックベリーやりんごのパイはとても美味しいのです。
妻はブラックベリーを知りませんでした。
そこで、挿し木で育てると、沢山実をつけました。
収穫したブラックベリーで作ったパイは妻に好評でした。
もう少し大々的に栽培してみようと思い、農業に詳しい人に相談して、半年くらいかけて農地を見つけてもらいました。
最初は60本から始め、現在は160本育てています。
ブラックベリーの他、ラズベリーやブルーベリー、いちご、ルバーブの栽培も始めています。
ブラックベリーやルバーブは暑さに弱く、日本の蒸し暑い夏の気候には向いていないのですが、工夫して育てています。
今までは翻訳業も行っていましたが、今シーズンからは農業が本業になる見込みです。
収穫したものは、生のまま販売する時期もありますが、シーズン以外はジャムに加工して販売しています。
直売所や道の駅、パン屋さんで取り扱っていただいています。
—富山の暮らしはいかがですか?
初めは高岡市に住んでいて、2007年に射水市へ引っ越しました。
この辺りは緑や田んぼが多く、開放的です。山も畑も見えて気持ちがいいです。
学校や保育園、お店など生活施設も整備されています。
富山は自然が豊かで、アルペンルートやトロッコ電車、温泉など楽しめる場所が多いです。
富山の人はあたたかく、良く働きます。よそ者に対する冷たさがないと思います。
イギリスでは、隣の人との交流はあまりありませんが、こちらに来て初めて町内会の活動に関わりました。
今は班長を務めています。
冬の雪は大変です。
でも道路に融雪装置があったり、みんなで一生懸命雪かきしたり、体制がしっかりしています。
食べ物は大好きです。
イギリスよりも美味しく、バラエティに富んでいます。お店のサービスも良いです。
日本語は留学中に勉強しました。
標準語での会話は大丈夫ですが、年配の方など方言が強い人との会話は大変です。
農業については、イギリスの農業は工業化しており、新規で始めるのは難しく、儲からないので、新たにチャレンジする人はいません。
日本は小さな土地を持った農家が多く、高齢化で耕作放棄地が増えています。
個人で農業を始めたい私のような人にもチャンスがあります。
—今後の夢をお聞かせください。
栽培面積を広げたいと思っています。
また、現在、ブラックベリーの加工品はジャムのみですが、ケーキも作りたいです。
ケーキやパイがとても美味しいので、冬に作ろうと考えています。プリンも美味しいです。
また、今シーズンから本格的に始めるラズベリーやブルーベリーなどを使って、ジャムの種類も増やしたいです。