広島県出身の青沼光さんは、学生時代から酪農家を志し、高校、大学で農業を学びました。
卒業後は黒部市直営の新川育成牧場(現・くろべ牧場まきばの風)などで経験を積み、2012年職場で出会った佳奈さんとご結婚。
2015年4月、酪農家として独り立ちし、高岡市の郊外で『clover farm(クローバーファーム)』をはじめました。

 

02青沼 光さん

—酪農家を志したきっかけは?

中学のときに、テレビで酪農の仕事を知り、憧れたのが最初です。
地元の農業高校で学び、大学は新潟大学農学部に進学。
そのころから自分で牧場をすることが目標でした。
卒業後は、長野の牧場で2年間、それから黒部の牧場で4年間経験を積みました。

 

—独立先として高岡市を選んだ理由は?

富山県内で酪農ができる場所を探し、いろんな方に相談したところ、「高岡で酪農を営んでいた方が高齢で仕事を続けられなくなり、牧場の買い手を探している」という話があり、
その方から敷地や牛を買い取るかたちで牧場をはじめました。
酪農というと、一般的には、北海道の雄大な牧場を思い描くかもしれません。
しかし、僕は、牛乳の鮮度や安心感を考えると、消費地から近い“都市近郊型”が理想的だと思っています。
また、妻は富山市出身で、できれば富山県を離れたくないということや、僕自身も富山の暮らしに慣れてきて気に入っていることなども理由です。

 

—酪農のお仕事について聞かせてください。

日々の日課は、朝夕の餌やり、搾乳、牛舎の清掃など。
今は牛舎を自分で増築しているので、日中も作業をすることがありますが、基本的には1日8時間以内労働の“ゆとりある酪農”を実践しています。
酪農の仕事は、「きつい」「休みがとれない」と思われるかもしれませんが、実際は、意外と自由になる時間が多いんです。
自宅横の職場までは徒歩5秒ですし、ヘルパー制度を利用して時々は外泊も可能です。
ただ、近年は牛の能力が上がってきていますし、しっかり勉強しなければ酪農は難しいです。

 

—青沼さんの牧場について聞かせてください。

『clover farm』では、現在36頭の牛を飼育しています。
牛の健康を考え、つなぎ飼いはせず、朝夕の涼しい時間帯に2頭のヤギと一緒に放牧しています。
日本の酪農においては、酪農家数の減少、後継者不足などの問題で、全国的に牛乳の生産量が減少しています。
北陸は特に、全国でも群を抜いて減少幅が大きいです。

『clover farm』は、「100年後も日本で酪農が当たりまえに続いていること」を願い、そのための取り組みをします。
ひとつは、「酪農の本当の姿を伝えること」。
酪農に興味のある方や教育機関など、各団体の受入れを計画しています。
今はまだ環境整備が完璧ではありませんが、ゆくゆくは民泊で滞在型酪農体験ができるような形にできれば、と思っています。

また、「乳製品のおいしさを伝えること」も大切です。
『clover farm』では、毎日搾りたての原乳約600キロを組合に出荷するほか、高岡市内のジェラート屋さんなど、牛乳を加工して使われるお店にも新鮮なものを使用していただいています。
農商工の連携で、地域の活性化にもつながれば、と思っています。

 

—移住を考えている方へのアドバイスをお願いします。

移住後、特に、起業を考えている方は、ネットワークづくりが大切だと思います。
僕の場合、趣味のフットサルチームに所属したり、地域の青年部や若手の集まりに顔を出したりし、いろんな仲間ができました。
また、黒部の牧場のときは市の直営ということもあり、役場の方との交流の機会もありました。
そうしたみなさんの助けをなくして独立はなかったと思いますし、すごく感謝しています。

▶︎clover farm オフィシャルサイト