富山県の中心部にある呉羽丘陵。山にはタヌキやノウサギ、沢や湧水のたまりには、富山県と石川県の特定の地域にのみ生息するホクリクサンショウウオなどが見られる自然豊かな地域。

 

そんな里山の風景が今も残る呉羽丘陵の中に、「富山市ファミリーパーク」という動物園があります。「うちの会社は移住者だらけです」と話す富山市ファミリーパーク職員・亀谷さんと森さんの、富山へ移住したいきさつをご紹介します。

 

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向かって左が亀谷さん、右が森さん

 

何も知らずに住み始めた富山

 

まず、お話してくださったのは亀谷三志さん。北海道の苫小牧市出身で、大学入学をきっかけに、富山へ足を踏み入れます。

 

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「『高校卒業後の進学先は道外で』。そのような暗黙の了解があった家庭で育ったので、地元を離れることに抵抗はありませんでした。富山を選んだ理由は、生物を学べる大学があったから。富山県のことは何も知りませんでしたが、入学を決めました」

 

暮らしていく中で、県内にあるお寿司屋さんのネタの数が北海道の倍だったことや、地域によって違いがある富山弁に驚いたそう。

方言色があまり強くない地域で育った亀谷さん。聞き慣れない言葉に苦戦しながらも、富山の生活に溶け込んでいきます。

 

念願だった動物園の仕事に就くも…

 

就職を希望していた動物園や水族館は4~5年に一度の募集が一般的。大学で出会った現在の奥さんが富山県出身ということもあり、県内の施設に絞って求人を探しますが募集はなく、大学卒業後は飲料会社の営業職に就きます。

 

「富山市ファミリーパークの募集を見つけた時は、飼育ができる!と心躍らせていました。しかし、募集要項をよく読むと『事務員採用』と書いてあって。それでも動物に携われるならと入社を決めました。

 

県内のものづくり文化を通じて、子どもたちが生き物と触れ合う機会をつくる地域事業の担当になりましたが、入社した時期は事業がまさに動き出した年。業務の形も定まっていなくて、最初は戸惑いだらけでした」

 

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地域事業で行ってきたイベントを紹介してくださいました

 

富山市ファミリーパークに勤めて現在8年目。探り探り進めてきた事業が、今はしっかり見通せるようになってきたそう。

 

県内の企業やNPO団体と一緒に呉羽丘陵に根付いたイベントを企画することも多くなり、人のつながりも強く感じています。

 

091120 里ノ助と小学校訪問写真

富山市ファミリーパークの公式キャラクター「里ノ助」と小学校を訪問

121030 小学校へのホクリクサンショウウオ出前授業写真

ホクリクサンショウウオの出前授業も行っています

 

富山にまみれた生活

 

保育所の父母会長を務めたり、自治会活動にも足を運ぶなど地域のコミュニティにも積極的に関わる亀谷さんに、富山県民の人柄についてお聞きしました。

 

 

「富山の人は、信用し合える関係になるまで時間がかかる気がします。でも関係を築けると、とことん深くまで付き合える。一緒にイベントを企画する人たちも、時間や労力を惜しまずに協力してくれる。とても情に熱い県民性だと思います」

 

 

大学に入学した当時は富山の知識が全くありませんでしたが、今では富山弁まじりで話す亀谷さん。富山の生物を、地元の子どもたちに伝える。地域にまみれた仕事で、より一層富山に溶け込んでいきます。

 

 

 

自然あふれた環境で

 

続いてお話をうかがったのは森大輔さん。亀谷さんより少し年上で、休日には一緒に釣りをすることも。愛知県出身の森さんも、大学入学を機に富山へ訪れました。

 

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「富山にきて一番驚いたのは雪の多さです。愛知は全然降らないので、雪かきには苦労しました。大学生の時は学校の近くに住んでいたので、通学にあまり苦労はしませんでしたが、今の家は山寄りにあって雪も多く降るし、車を出すだけでも一苦労。

 

でも山の近くという自然に囲まれた場所なので、生物が大好きな自分にとっては、とても嬉しい環境ですね」

 

今住まわれている家は田んぼに囲まれた住宅地の中。夏の夜には子どもたちと一緒に、蛙を見に行くことも。生物好きの森さんの性格は、しっかりと子どもたちにも受け継がれています。

 

動物への思い

 

求人情報が出されても短期間で掲載を止めてしまう水族館や動物園。募集が出されると、全国各地から応募が集まるそう。富山市ファミリーパークで求人情報が出ていたのは、本当にタイミングが良かったと森さんは言います。

 

「大学生時代には、休みの日に北海道から沖縄まで全国各地の動物園や水族館を巡る旅行をしていました。なので別の都道府県で自分が働く姿も想像できましたが、富山市ファミリーパークの募集を最初に見つけて、内定を頂けたので他の施設は考えませんでしたね」

 

現在、動物飼育を担当する森さんは、ヤマネコやムササビ、ウサギをお世話。自分の体調が悪いことを隠してしまう動物もいるので、毎日注意深く観察しています。

 

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動物の飼育へ向かう森さん

 

「遊んだりご飯を食べたり、寝ていたり。動物の様々な姿をお客さんに見てもらいたいです。檻の中の木を少し動かすだけでも、動物には刺激となり新しい行動を見せてくれる。展示の研究はもちろん、全国で数が少ないヤマネコなどの繁殖にも力を入れていきたいです」

 

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「里ノ助」が園内の様々な場所でお出迎え

 

移住先ではなく、暮らし方にこだわる

 

「大学入学からそのまま富山に住んでいるので、移住した感じはしない」という森さん。「大学進学で道外に出るのが当たり前」の家庭で育った亀谷さんも同様で、お二方とも移住しようと考えて、富山を選んだわけではありません。

 

 

だからこそ、「富山だから」移住して良かったと考えるのではなく、どの地域でもどう暮らしていくか、どのように地元の方たちと接していくかが、移住先での生活に大きな影響を与えるのではないかと感じました。

 

 


亀谷さんの必需品

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高校生時代や浪人時代の苦楽を一緒に乗り越えた、親友のお母さんがプレゼントしてくれた名刺入れ。

 

森さんの必需品

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動物を訓練する「クリッカー」。音を鳴らすと餌がもらえる、体重を測るなどの合図に。肌身離さず持ち歩いています。